超入門プログラム作成

音声パソコンでプログラムを作成する最初の一歩を超やさしく説明します。小中学生向けの説明なので、パソコン用語や英語の意味も解説します。

 

プログラム作成の解説書は多々あります。またネット上にも公開されています。しかし、その通りにやっても音声パソコンが思ったように読み上げてくれないことがあります。

 

ここではHSPというプログラミング言語を使って超簡単なプログラムを作ってみます。その時に「音声パソコンではこのように作ります」と言った説明をします。

 

ネット上で公開されている解説書を、ここで学習した内容で置き換えて読み、音声パソコンでプログラムを作成する。このようなことができるようになることを目標とします。

 

プログラムとは

「一を聞いて十を知る」という故事があります。人が人に簡単なことをやってもらいたい場合、要点を説明すればだいたいの事はやってもらえます。

 

パソコンはこれができません。説明するだけではだめなのです。教えてあげないとだめなのです。一から十まですべてのやり方を順序だてて教えてあげる必要があります。正確には教えるではなく命令するです。

 

人間が間違えて教えたら間違えたとおりにやります。出てきた結果がおかしい場合はパソコンが間違えたのではなく、教えた内容が間違っていたのです。この間違いを見つけて修正するのは大変ですが、楽しいことでもあります。

 

このようにプログラムを作ってパソコンに教えます、または命令をします。順序だてて命令することが重要です。「一を聞いて十を知る」プログラムもあります。AI・人工知能です。

 

最近はアプリといったり、プログラムといったりします。これらは同じものです。正確には「アプリケーションプログラム」です。前半だけを言うか、後半だけを言うかの違いです。

 

プログラムを作るとは

パソコンで文章を作成するときは、メモ帳やマイエディット等のプログラムを起動して文字入力をします。メモ帳やマイエディット等はテキストエディタと言います。文章を編集するためのプログラムです。

 

プログラム作成も文章作成に似ています。メモ帳のようなプログラム作成用エディタを起動して文字入力をします。文章は人間が読みますが、プログラムはパソコンが読むのでパソコン語で文字入力をします。Goは行け、Stopは止まれ、Endは終われ、の様に命令形で順序だてて箇条書きします。

 

このパソコン語がプログラミング言語です。人間語に英語や中国語があるように、パソコン語も様々です。その中のHSPというプログラミング言語でプログラムを書きます。人間語の文章もパソコン語のプログラムもエディタというプログラムを使用して書きます。

 

HSPとは

HSPの公式ホームページに「HSPはHot Soup Processorの頭文字でスクリプト言語です」と書いてあります。スクリプトを英和辞典で調べたら「映画やラジオの台本」と書いてあります。スクリプト言語をIT辞典で調べたら「簡易的なプログラミング言語で習得が比較的容易」と書いてあります。

 

2020年6月現在、HSPの最新バージョンは3.51です。今後、バージョン3.6やバージョン4に更新されることもあります。その場合は下記のプログラム名等で、バージョン情報の数字部分が変わると思います。 

 

HSPのインストール

HSPはプログラムを作るためのプログラムです。他のプログラムと同様にダウンロードとインストールをします。HSPはVectorからダウンロードできます。Vectorにリンクするとダウンロードのプッシュボタンが二か所あります。「*ボタンを押すとダウンロードが始まります。」の次に「ダウンロード、リンク」と聴こえたらエンターキーを押すとダウンロードができます。それではVectorへはこちらからどうぞ

 

2020年6月現在の最新版はバージョン3.51です。「hsp351.exe」がダウンロードされます。ダウンロードしたプログラムを実行したらインストール完了です。

 

インストールが完了するとデスクトップ上に「HSPスクリプトエディタ」と「HSPTVブラウザ」のショートカットが作成されます。マイスタートメニューから「すべてのプログラム」「Hot Soup Processor 3.51」の順に進むと、9本のメニュー項目があります。ここにも「HSPスクリプトエディタ」があります。しかしこれらのエディタはPC-Talkerに対応していません。

 

音声パソコンで使用するエディタ

上記の「HSPスクリプトエディタ」は「hsed3.exe」です。PC-Talkerに対応していません。「hsed3le.exe」がPC-Talkerに対応したエディターです。エクスプローラーまたはマイファイルを起動して、Cドライブ直下の「hsp351」フォルダ内にある「hsed3le.exe」を起動してください。

 

「hsed3le.exe」のショートカットをデスクトップ上にでも作っておくと良いでしょう。マイスタートメニューに登録するのも良いでしょう。

 

HSPスクリプトエディタを使ってみる

「hsed3le.exe」を起動してください。

Ctrl+Alt+5キーを押すと『HSPスクリプトエディタ - (untitled)』と聴こえます。これはタイトルバーに書いてある内容です。untitledはこれから作るプログラムのファイル名です、意味は無題です。

 

ALTキーを押して右矢印キーを数回押してメニューバーを確認してください。上下矢印キーでも確認してください。Altキーを再度押すとメニューバーが閉じます。

 

F5キーを押すと、入力したプログラムが実行されます。まだ何も入力してませんがF5キーを押して実行してください。中身がカラのWindowが表示されます。

 

Ctrl+Alt+5キーを押すと『Hot Soup Processor ver.3.51』と聴こえます。これは実行時画面のタイトルバーに書いてある内容です。

 

ALTキーを押して右矢印キーを押してメニューバーに何もないことを確認してください。Altキーを再度押すとメニューバーが閉じます。 

 

Alt+Tabキーを数回押して、HSPスクリプトエディタの画面と実行時画面があるのを確認してください。最後は実行時画面に戻ってください。

 

実行時画面はメニューバーから終了できません。Alt+F4キーを押して終了してください。実行時画面は閉じますが、HSPスクリプトエディタの画面は残ったままです。

 

プログラムを作る

この下に超簡単なプログラムが書いてあります。

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          input 数値1

          input 数値2

          button "計算", *計算と結果表示

          stop

 

*計算と結果表示

          計算結果 = 数値1 + 数値2

          dialog 計算結果

          end

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このプログラムは二つの数値をインプットして計算のプッシュボタンを押したら、足し算をしてその結果を表示します。

 

スクリプトエディタを起動して上記のプログラムを入力してください。先頭行で「input 数値1」と入力します。「end」まで全部で8行あります。input命令やend命令は大文字小文字の区分は不要ですが、ここでは半角小文字にしました。

 

inputと数値1の間はスペースを入れます、button命令とdialog命令も同様にスペースを入れます。字下げをしたり空白行を挿入すると見た目が良くなりますが、これらはあってもなくてもかまいません。

 

コンパイルと実行

プログラムの入力が終わったら間違いがないか確認し、コンパイルと実行をします。コンパイルとはパソコン語を機械語に変換することです。パソコン語はinput命令やbutton命令等で書きます、これを0と1だけの機械語に変換すると、パソコンが実行できます。

 

メニューバーからHSP(H)に入ると「コンパイル+実行 F5」があります。この意味はメニューバーに入らなくてもF5キーを押したらコンパイルと実行ができます。この下にもメニュー項目があることを確認し、Altキーを押してメニューから抜けてください。

 

F5キーを押してコンパイルと実行をしてください。入力したプログラムが正しければ先頭の4行が実行され、stop命令で止まります。その後は人の操作を待ちます。

 

入力したプログラムが間違っている場合は実行されません。『閉じるのプッシュボタン、確認』と聴こえます。その時は上矢印キーを押して、説明文を確認してください。この間違いをコンパイルエラーといいます。実行時にもエラーが起きることがあります。例えばゼロで割り算をした時です。

 

Tabキーをゆっくりと何回か押して、二つの文字入力ボックスと計算のプッシュボタンがあることを確認してください。確認したら二つの数値を入力し、計算のプッシュボタンでスペースキーを押してください。計算結果が表示されて、PC-Talkerが読み上げてくれます。エンターキーを押したら終了です。

 

プログラムの流れ

ここからはプログラムの流れと動きを確認します。最初の3行で二つの入力ボックスとプッシュボタンを表示し、4行目のstop命令で止まります。その後は人の操作を待ちます。

 

計算のプッシュボタンでスペースキーが押されたら「*計算と結果表示」のラベルに飛んでいきます。「*計算と結果表示」に飛んで来たら、二つの数値で足し算をし、計算結果をdialog命令で表示します。表示された計算結果はPC-Talkerが読み上げてくれます。エンターキーを押すとダイアログボックスが閉じ、次のend命令でプログラムが終了します。

 

ファイルの保存

メモ帳やマイエディット等のテキストエディタでファイルを保存をすると拡張子が.txtになります。HSPスクリプトエディタでファイルを保存をすると拡張子が.hspになります。

 

ファイル名を「足し算計算機」としてドキュメントに保存してください。保存したらスクリプトエディタを終了してください。

 

dialog命令について

足し算計算機では計算結果を表示するのにdialog命令を使用しました。画面表示をする命令はほかにもありますが、PC-Talkerが読み上げてくれるものと読み上げてくれないものがあります。dialog命令の画面表示内容は読み上げてくれます。

 

エディタを終了するときにファイルを保存するかしないかの確認画面が表示され、はい、いいえ、キャンセルのプッシュボタンがあります。またはOKのプッシュボタンだけがあります。この小さな画面はメッセージボックスです。はいを選択すると少し大きいファイル保存のダイアログボックスが表示されます。ダイアログの意味は会話です。

 

メッセージボックスでは質問に対して、はいやいいえで答えます。ダイアログボックスではファイル名やファイルの保存場所などを入力して指示します。尚、画面上のボックスは四角形です。

 

HSPのdialog命令は両方に対応します。あるときはメッセージボックスを表示し、ある時はダイアログボックスを表示します。足し算計算機ではメッセージボックスを表示しました。

 

関連付け

拡張子が.hspのファイルは、HSPインストール直後はPC-Talkerに対応されてない「hsed3.exe」と関連付けされています。拡張子が.hspのファイルをエクスプローラーやマイファイルから開くと「hsed3.exe」が起動されます。これを「hsed3le.exe」が起動されるように変更しなければなりません。

 

エクスプローラーを起動して、ドキュメントフォルダ内の「足し算計算機.hsp」を開いてください。上下矢印キーを押して「input 数値1」とか読み上げてくれたら「hsed3le.exe」が関連付けされています。読み上げられない場合は次に進んでください。

 

ファイルの種類とプログラムの関連付け

ファイルの種類とプログラムの関連付けは、設定やコントロールパネルで実行できますが、ここではエクスプローラーで実行します。

 

エクスプローラーを起動して、ドキュメントフォルダ内の「足し算計算機.hsp」ファイルを探してください。アプリケーションキーを押して「プログラムから開く」「別のプログラムを選択」の順に進みます。

 

「常にこのアプリを使って .hsp ファイルを開く」のチェックボックスをオンにしてから「その他のアプリ」「このPCで別のアプリを探す」の順に進み、Cドライブ直下の「hsp351」フォルダ内にある「hsed3le.exe」を開くと関連付けができます。

 

次回からは拡張子が.hspのファイルを開くと「hsed3le.exe」が起動されます。エクスプローラーまたはマイファイルを起動し、ドキュメントフォルダ内の「足し算計算機.hsp」を開いてください。上下矢印キーを押すと「input 数値1」とかが聴こえるはずです。

 

拡張子が.asのファイルも同様の関連付けをします。でも今は必要ありません。.asファイルはあとで使用しますが、エディタでファイルを開いて編集することはありません。興味のある方はこちら

 

引き算計算機の作成

エクスプローラーを起動して、ドキュメントフォルダ内の「足し算計算機.hsp」を開いてください。関連付けされた「hsed3le.exe」が起動されて開くはずです。

 

計算結果 = 数値1 + 数値2

の行で「+」を「-」に変更してください。「+」や「-」は演算子といいます。

 

変更したらF5キーを押してコンパイルと実行をし、結果を確認してください。確認ができたら、最後にファイル名を「引き算計算機」で保存したら完成です。

 

同様に掛け算計算機と割り算計算機を作成してください。掛け算演算子は「*」です。割り算演算子は「/」です。割り算計算機では数値2にゼロを入力して計算結果を確認してください。

 

四則演算計算機の作成

ここまでに作った4本のプログラムはドキュメントフォルダ直下に保存しました。他のファイルと混在するとわかりにくいので整理整頓しましょう。ドキュメントフォルダの下に、例えば「HSP作品」フォルダを作って、4本のファイルを移動してください。回答例の4本も「HSP作品」フォルダに保存しましょう。

 

次は四則演算計算機を作ってみましょう。1本のプログラムで4種類の計算ができるようにします。いろいろなやり方を考えて、四則演算計算機Aや四則演算計算機Bなどを作ってみてください。